• インタビュー
  • 2021/09/24

「約束を守れないと即下山」日本一外傷の多い接骨院 シビアなルールの理由とは!?

「外傷をみられるようになるには、外傷を経験するしかない」———角野弘明先生が運営するゲレンデ接骨院『スノーエイド』には毎シーズン、多くの参加希望者が応募してくる。参加者たちは、冬山のスキー場という外傷と隣り合わせの環境下に身を置くことで、通常の柔道整復師が経験する一生分の外傷処置を経験することになるという。角野先生がゲレンデ接骨院に携わることになったきっかけ、応募者の採用基準、さらには参加者の声を〝柔道整復師の最前線〟から、お届けする。
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角野 弘明株式会社SNOWAID代表取締役
1990年10月15日生まれ。接骨院、整形外科勤務を経て他社のゲレンデ接骨院に参加。外傷の苦手意識が一変したことから、『スノーエイド』を立ち上げる。現在では冬季100日間で外傷診療件数・1000件を越える驚異的な実績を上げ、〝日本一外傷が訪れる接骨院〟に成長させた。


トワテック
スノーエイド参加者の採用に関して、重要視している点はありますか?
角野
現状では毎シーズン3名を採用していますが、年齢や経験、施術能力に関してはそこまでは重要視はしていません。スノーエイドは安全に運営できるようにマニュアルをガチガチに固めているので、行動力がある人よりも決められたルールを遵守できるかどうかが重要です。真面目さ、誠実さ、礼儀正しさ、周囲への配慮の観点から適正を見極めています。
トワテック
スノーエイドがゲレンデ接骨院を構える3店舗のスキー場(長野・岐阜)には、どんなバランスで配属されるのでしょう?
角野
基本的にはひとつのスキー場に各1名ずつ入ってもらいます。時には僕がサポートに入ることもありますけど、各々が治療家と現場の責任者と監督者を兼任することになります。僕一人で3店舗を監督するのは物理的に不可能ですので、ルールはガチガチに固めているんです。基準(マニュアル)に絶対に従っていただくことが、応募の前提条件ですね。
トワテック
〝約束を守れなかった場合は即下山〟という、シビアな規約を設けているとお聞きしました。
角野
過去に大きな問題が起きたわけではないんです。ただ、最初は皆さんルール通りに処置していたのが、シーズンも半ばを過ぎると外傷に慣れ始めて「いけるぞ!」という気持ちが芽生えてくる。ちょっと自信がつき始めた頃が一番怖いんですね。設定した基準を超える処置を取った参加者に「なんでそれをやったの?」と聞くと、「いけると思いました」とか「書籍や論文にも禁忌とは書かれていないので、やるべきだと思った」みたいな意見が返ってくる。
トワテック
次第にルールを逸脱してしまうわけですね……。
角野
長くゲレンデ接骨院を経験している僕からすると、そういった思考はとても危険なんです。10回上手くいったから11回目が成功するとは限らないですし、各自が判断してしまうと予測不能な事態が生じた際にコントロールが効かない状況が生まれてしまうので、ここは厳しく取り締まっていかないといけない。うちではこの基準を設けているので、参加している以上は絶対に決められたルールを守ってくださいね、というスタンスを貫いています。

トワテック
スノーエイドの卒業生は何名ほどいるのでしょう?
角野
会社設立が4年前ですので、十数名になりますね。参加者の定員数(毎シーズン3名)は体制が整い次第、増員していきたいと考えています。
トワテック
ゲレンデ接骨院を経験した参加者からは、嬉しい声も届いているのではないでしょうか。
角野
ある参加者からは「約3ヶ月で1000件以上の外傷と接する中で、ある意味、人生が変わるくらいのインパクトを受けた」という感想を聞きました。初めは腕を磨きたいとかゴッドハンドになりたいとか、熱い想いを持って参加されますが、シーズン終了後には外傷の基礎とルールを徹底的に守って施術することの大切さを学んだと、皆さん口を揃えます。そして、ありがたいことに来シーズンもスノーエイドで経験したいと言ってくれるんです。僕にとってはとても嬉しい言葉です。今シーズンも皆さんの参加をお待ちしております。

おまけ動画「角野弘明に10の質問(後編)」


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取材
トワテック編集部(柔整チーム)
トワテックの柔整師・トレーナー担当部署。商品開発、通販サイトの運営、取材を主な業務としている。平均年齢は30代。

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