vol.031NATA障害レポート1
僕が大学生の頃はアメリカで学生トレーナーとして色々なスポーツに携わってきました。
男子スポーツだけでなく女子のスポーツもケアしたり、夏休み等には中、高校生のスポーツイベントにも参加してトレーナー活動をしてきました。
就職して一つのスポーツに携わるのもいいですが、多種多様のスポーツから色んなスポーツ障害を勉強出来る環境も、今思えば大変勉強になりました。
先日、全米アスレティックトレーナー協会が発行しているジャーナルで面白いリサーチを見つけたので今回から3回にわたって詳しく個別に紹介したいと思います。
これは1988年から2004年までの16年間、全米に於ける16種目の大学でのスポーツ障害のデータをまとめたものです。
日本ではあまり見られないスポーツもありますがシーズン前、シーズン中、そして練習、試合、又、障害のメカニズム、そして部位別に比較したものです。参考にして下さい。
1. 試合と練習に於けるスポーツ障害率
|
試合数 |
障害数 |
障害率 |
シーズン前 |
286843 |
1721 |
6.00 |
シーズン中 |
4736057 |
68678 |
14.50 |
シーズン後 |
221188 |
1917 |
8.67 |
|
練習数 |
障害数 |
障害率 |
シーズン前 |
10696697 |
70951 |
6.63 |
シーズン中 |
15916818 |
37140 |
2.33 |
シーズン後 |
789366 |
1069 |
1.35 |
※シーズン前の怪我は練習が一日に2回以上あったり、レギュラーに残る為の熾烈な(?)争いがあったり、身体がまだ本調子でない為の怪我が生じたりと多くの理由を見いだせます。
でもやはりシーズン中の試合の怪我が一番多いですね。
2. 障害のメカニズム
|
試合中 |
練習中 |
接触なし |
17.7% |
36.8% |
その他の接触 |
20.0% |
15.4% |
選手との接触 |
58.0% |
41.6% |
選手との接触 |
4.3% |
6.2% |
※最も多くの怪我は試合中(58%)、練習中(41.6%)で選手との接触になっています。
接触なし(個人種目等)のスポーツでの怪我は捻挫やオーバーユースがあげられると思います。
数値は全て%となっています。
3. 障害の部位
|
試合中 |
練習中 |
頭部、頚部 |
9.8% |
12.8% |
上肢 |
18.3% |
21.4% |
体幹、背中、腰部 |
13.2% |
10.0% |
下肢 |
53.8% |
53.7% |
その他 |
4.9% |
2.2% |
※半分以上が下肢の膝関節(特に前十字靱帯)、足関節(捻挫)、ハムストリングス(肉離れ等)となっています。数値は全て%となっています。
- 小松 武史先生