vol.055医はサービス(後編)
前回、患者と会話をする事、医療において患者とコミュニケーションをしっかりもつ事の大切さを話しました。
今回はもう一つ、理解と信頼についてお話ししましょう。
問診の後に僕がするのは診断です。
鍼灸師として腹診をしますがこれの利点は治療前に患者が腹部の圧痛を感じて、治療後にはそれが消去(又は緩和)していれば患者も変化(治療の効力)がわかります。
診断後はなぜ、その症状が出たのか、治療でどのように良くなるかを説明します。
鍼灸の治療家の中には説明しにくいからか、漢方的な考え方は患者が理解しにくいと思っているからか、言ってもわからないと思い、全く患者に説明しない人が多いようです。
しかし誰でも自分の身体を理解したいと思う気持ちはあります。
それは西洋医学であろうが東洋医学であろうが関係ないのではないでしょうか。
患者がその東洋医学的な考えを理解出来るかは二の次です。
患者が理解したときの自然治癒力はそうでないときの数倍だとリサーチの結果で出ています。
今日の治療はこの症状が出ているのでこれこれこのようにします。ここが良くなれば主訴であるこの症状が良くなります。などとしっかり説明します。
たまに僕は経穴や経絡の話しもします。
アメリカ人はおもしろがって色々質問もしてきます。
それに答えるのも治療の一環だと思います。
そして説明した事、治療後に患者がどのように感じるかを話して、実際に患者が納得(痛みが消去、又は緩和)すれば患者との信頼関係も良くなります。
医療は信頼関係なしでは成り立ちません。
しっかり患者の話しを聞く事、そしてこちらの治療方針や考えを説明する事、そして始めて患者との信頼関係が確立する事を理解して治療をして下さい。
医はサービスです。
患者さんの立場に立って考える事がまず治療の第一歩かと思います。
治療方針や効果を話してもその通りに治療出来なければ意味はありません。
技術も大切なのですがこれはセミナーや講義を受けてスキルアップして下さい。
- 小松 武史先生