vol.0130肘の痛みの診察
肘関節は上腕骨・尺骨・橈骨の3つの骨からなり、腕尺関節・腕橈関節・上橈尺関節の3つの関節より構成されます。
腕尺関節が蝶番関節のため骨性支持をもち、比較的安定した関節です。
しかし一度痛めたりすると変形や、遅発性尺骨神経麻痺といった2次的な障害を引き起こしたりします。
そのため過去の既往歴きちんと聞くことが問診で重要なポイントとなります。
肘の痛みを訴える患者さんが来院し、診察を進める流れとして、
まず、問診をしっかり行い・視診・触診・画像診断など他の部位と同じように確定診断を絞り込んでいきます。
肘疾患の診察の重要なポイントとして、年齢別で違いがあります。
まず大人の場合は、過去の既往歴、神経所見があるかどうかで診察の進め方もちがいます。
過去に骨折がある場合、遅発性尺骨神経麻痺が出現する場合があります。
子供の場合は外傷の有無、運動歴、または痛みの原因を聞くことと視診として前腕全体をみることがポイントです。
例えば子供が手を突いて痛がっている場合、手関節だけでなく、前腕全体と肘を必ず見て脱臼してないかを確認します。
子供のMonteggia骨折は大人と違って尺骨がしなるだけで、はっきりとした骨折線が無い場合があります。
見逃されやすいので、全体的な視診とROM制限を確認し、見逃しを防いでいく必要があります。
肘疾患の診察を進めるうえで、解剖的なことを把握するのは、もちろんのこと、外傷や障害といった肘疾患それぞれの特徴をしっかりと理解することが、見逃しを防ぎ疾患を導くカギとなります。
- 北村 大也先生
- 整形外科医