vol.0135患者さまにどういう心で接するか
今回のテーマは「患者さまにどういう心で接するか」です。
当院には、患者様に人気があるT先生という施術の先生がいます。
T先生は、患者様との接し方が良いと評判です。
T先生の施術を見た人の内、二人が当社の就職面接に来てくれました。
そのため、T先生に「患者様と接する時に大切にしていること」を聞きました。
それは、なんとこんな体験から来ていました。
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私が施術させていただいている患者様の対象は、お年寄り(80~90歳代)の方が多く、その中でも大切にしているのは、患者様とのコミュニケーションをしっかりと取り、有意義な時間と感じていただけるように努力していることです。
その理由は、私が施術者の資格を取る前の特別養護老人ホームで介護職員として働いている頃に、当時の施設長からお叱りを受けたことが根底にあります。
そのお叱りというのは、入居者様をお花見のイベントにお連れした時に、あまりの見事な桜に自分の気分が高揚してしまい、少し悪ふざけをした写真を撮ってしまったことがあり、それを見た施設長が私を呼び、「お前はこの桜を何人の人が来年また見れると思っているんだ!」と問いただしました。
私はその一言で自分がとった行動の軽率さと、お年寄りにとっては来年があるかわからない、ひょっとしたら明日さえもあるかわからない方々のお世話をさせていただいている責任の重さを感じ、その場で泣き崩れました。
この苦い経験が、今の私の考え方や患者様と接しさせていただく時に、とても大きな影響を及ぼしています。
それは私の施術の仕事に置き換えるなら、「この訪問の施術が最後になるかもしれない、だから少しでも有意義な時間と感じていただこう。」という想いで接しています。
また、この時に叱ってくださった施設長には、今でも大変感謝をしております。
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T先生の患者様への接し方が、以上のような体験から来ていたとは、私も知りませんでしたが、改めて「患者様にどういう心で接するか。」が施術者には、非常に大切だと感じました。
また、治療院経営の面からみますと、常に良い先生を多く確保したいという考えは誰しもありますが、求人や面接で選ぶ方法のほかに、自分の治療院の良い人に同じ良い人材がひきつけられて入社するということをT先生から学ぶことができました。
治療院経営では、治療の技術・知識の向上と共に、患者様に接する心の向上によって、卓越した治療家集団が出来あがると思います。
- 西川 和義先生
- NPO全国鍼灸マッサージ師協会 兵庫支部副支部長