vol.0138ばね指について
突然指が屈曲したまま伸びなくなってしまい驚いたことはないでしょうか?
それは、ばね指(弾発指)と言う腱鞘炎の一つかもしれません。
ばね指とは、MP関節掌側部位でA1 pulleyの近位部腱鞘に肥厚・狭小化と屈筋腱そのものの肥大・硬化が生じ、指屈伸運動時に弾発現象が発生する疾患です。
つまり簡単に言うと、MP関節掌側で腱が通る腱鞘というトンネル部分に炎症がおき肥厚し、屈伸運動のたびに腱がひっかかり、ロックもしくはばね現象が起きてしまう症状のことをいいます。
ばね現象が曖昧な初期の場合に、IP関節(母指)やPIP関節(示指から小指)のカクカクした感じや痛み、朝のこわばる感じといったように、他の疾患を疑わせるような症状を訴えます。
他の疾患と鑑別するためには、A1 pullyの肥厚・圧痛はもちろんのこと、指屈伸動作時、腱滑動に伴うクリック雑音を触知することが大切です。
性差年齢別にみてみると中高年齢層の女性に多く、また、産後の女性に多いと言われていますが原因や因果関係は不明な点が多いです。
好発部位としては母指・中指・環指の順で示指・小指例は比較的少ないのです。
一般的な治療法は靭帯の肥厚が強く、極めて強いばね現象があるか、もしくは、腱が絞扼され日常生活に不便を生じる場合は外科的治療が適応となります。
ですが、基本は保存療法で様子を見ます。
日常生活の注意として、痛みが強い場合は、痛みの出る動作を控え安静にし薬物治療と平行して様子をみます。
また経過が長期になると関節自体の拘縮も続発してしまうので、予防として反対の手を使って他動的に手指を緩除に屈伸したり局所のマッサージを併用させることも有用です。
- 北村 大也先生
- 整形外科医