vol.0150肉離れについて
今回もスポーツ選手に多いケガの1つ、肉離れについて考えていきたいと思います。
まず筋肉の障害の種類として、自家筋力によるものと筋肉に外力が加わったものとがあります。
前者は、筋肉がロックした状態のこむら返り、筋肉が引き離された時に起きる肉離れ、筋腱断裂。
後者には直接外力が加わる筋挫傷があります。
一般的に肉離れの発生機序として、自らの拮抗筋の力または介達外力によって筋肉が抵抗下に過伸展されて発症します。
多くは遠心性収縮によって筋腱移行部で損傷します。
つまり簡単に説明すると、筋力とは伸ばされながら収縮しようとすると最大筋力が発生し、強く収縮した筋肉がそのまま固まってしまった状態がこむら返り。
その筋力に筋線維が負けた時に肉離れは起こります。
このような発生機序で肉離れが最も起こりやすい部位はハムストリングスです。
筋バランスの影響が特に関係しやすく、大腿前面の筋肉である大腿四頭筋と後面の筋肉ハムストリングスのいわゆるQ/H比が重要になってきます。
また疾走中の特に接地前後に生じやすいのです。
発生要因としていくつかまとめてみると、
- 柔軟性の欠如、不適切なウォーミングアップやストレッチの不足など
- 左右の筋力や拮抗筋のアンバランス
- ランニングフォームの不良
- 不完全なリハビリテーションでの早期復帰など
また、ランニングフォームの不良として、その動きの特徴もいくつかあります
- 下腿の蹴りだしが大きく接地が遠い。
- 胴体の前傾が大きい。
- 接地中の膝の屈曲が深い
などいくつかあります。
重症度は損傷の断裂程度によりⅢ段階にわけられます。
それによりスポーツ復帰のかかる期間が異なり、不完全な状態での復帰が再発へとつながります。
目安としてⅠ度は1~3週・Ⅱ度は4~8週・Ⅲ度は3カ月以上を要します。
ただ患部を治療するだけでなく、フォームや体作りなども再発防止のために行う必要があるのです。
これからのリーグ戦で長期間を見越して、毎回ベストなコンディションで望むためにもケガには十分注意しなくてはいけません。
- 北村 大也先生
- 整形外科医