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vol.0164足関節捻挫の概要と触診のポイントについて 今回は運動の現場でよく見る、足関節内反捻挫で傷めてしまう靭帯の概要と触診のポイントを見て行きたいと思います。 足関節の機能解剖 まず足関節の機能解剖ですが、足は7つの足根骨と5つの中足骨、14の指骨と、合計26の骨からなり、全体重を支持する単位合成体です。 距腿関節は底屈・背屈の関節で、距骨滑車の幅は後方よりも前方が約5㎜広いために、底屈位では関節の遊びがあり、わずかに内・外転運動が可能となっています。 背屈位では、関節窩が関節頭を硬く挟み込むため、内転や外転の運動は出来ません。 靭帯の損傷部位 足関節内反捻挫の損傷部位として、「前距腓靭帯」「踵腓靭帯」がとても多いです。 前方引き出しテスト(ADS)にて陽性である場合上記靭帯の損傷をかなりの確率で疑います。 また、関節軟骨の損傷も疑う事が重要になります。 余談ですがエコー上で靭帯を描出すると切れている場合は白くキラキラと写ってきます。 なぜ内反捻挫が多いのか? 踵骨隆起部は下腿軸に対して軽度外反位で解剖学的に位置しているので、踵が内側に入りやすいためと考えられます。 又、固定に働く靭帯が内側と比較して外側は弱いのでは?とも言われていますが、実際のところはまだまだ研究の余地がありそうです。 触診のポイント まず指先から触診していきます。 特に第1指と5指から触診していくことがポイントになります。 その際、アライメントなど解剖はしっかりとイメージしておきましょう。 例えば靱帯は「この辺??」ではなく、しっかりと長さまで理解し触診できるようにしておく事が重要です。 前外側突起を触診する 「前外側突起」とは距骨の外側縁のことを指し、足関節の底背屈にて触診部が表皮に触れたり・触れなかったりします。 前外側突起を触診し、そこから外果に向かって前距腓靭帯がついています。 イメージとしては上記2点を直線で結ぶのではなく、橋が下に架かるような感じで付着しています。 前方引き出しテスト 目的 足関節に前方・内反へのストレスをかけて、前距腓靭帯・踵腓靭帯の損傷の有無を診ます。 患者さんのポジション 腹臥位 方法 前距腓靭帯:距骨の前外側突起の上にある。 足関節を底背屈を0°とし脛骨を両手で押さえ固定し、踵骨を両親指で前方に押し出す。 腓骨筋腱の一層下に膨らんでいるのを触診できる。 動きの質と量を触診する。 踵腓靭帯:腹臥位にて足関節を底背屈を0°とし内反させる。 ※上記検査法はあくまでもひとつの方法になります。 ほかにもいろいろな方法があると思いますので参考書等を開いてみて下さい。 北村 大也先生 整形外科医