vol.0168第10回「クレーム対応について(エステ鍼灸)」
今月のテーマは「クレーム対応について(エステ鍼灸)」です。
エステ鍼灸のクレームは様々な内容で入る事が想定されます。
考えられるクレームとしては、もちろん皮膚トラブルが多いと思われます。
刺鍼による、赤み・腫れ・内出血等など。
マッサージや化粧品の拭き取りによる摩擦等が原因の皮膚表面の荒れ。
使用する化粧品によるかぶれや腫れ。各種アレルギー反応。
電流を流した場合は電気アレルギーが起こる方もいらっしゃいます。
美容器の導子部分を直接当てる事による金属アレルギー等々。
美容機器によっては、低温火傷も。
すべてにおいてアトピー体質の方は、要注意です。
エステのような店構えでエステ鍼灸を前面に出す店にした場合、来店されるお客様(患者様)は、エステサロンに通われている気持ちで来店されます。
接遇面や各施術部屋の内装面、他の施術室や受付からの話し声のクレームも入ります。
フェイシャル施術のチケット販売や、コース契約メニューを作った場合は、契約トラブルによるクレームも考えられます。
エステ施術で契約を交わした場合は、特定継続的役務業務となり特定商取引法が適用されます。
もちろん金額によっては、契約書も必要です。
消費者を守るために定められたクーリングオフも守らなければなりません。
中途解約も必要です。
このように、法律的にも注意が必要です。
中には、悪質なクレーマーさんも存在します。
今まで鍼灸院では、ありえなかった様々なクレームが舞い込んでくる事を想定して下さい。
鍼灸院にとっては、エステ(美容)の分野は想像以上に異次元のサービスです。
来店される方も、今まで来られていた患者様とは違い、「客」として来店され「患者」ではない対応となります。
サービスを提供する側が「お客様」という認識のもと、準備をしておく必要があります。
エステ総合賠償責任保険等への加入も必要かも知れません。
万が一、エステの施術で起こした「赤み」や「腫れ」は事故として扱われ、クレームは消費者センターに入り、母体である鍼灸院の評判にも傷を付けかねません。
今回の「クレーム対応」と言うタイトルに関しては、かなりシビアに書いています。
私はこうしたクレーム対応の相談をよくうけます。
美容の分野に業務を拡大していこうとしている鍼灸師の皆様の多くは、クレーム対応に関して甘くみているように感じます。
“鍼灸院の延長線上での新しいメニュー”という程度の意識で取り入れようとしているような方もいらっしゃいました。
もちろん、クレームを想定して細心の注意と集中力で繁栄されている鍼灸院もいらっしゃいますが、最近特に気になるのは、鍼灸学校を卒業したばかりの新卒の若い女性鍼灸師の方々です。
エステ鍼灸に対しての認識の甘さは、これからの日本のエステ鍼灸にとって重大な課題だと感じます。
現在、ほとんどの鍼灸院は男性鍼灸師が経営されていると思います。
数年前、美容鍼が注目され始めた頃に比べて現在の美容鍼のニーズは、どんどんエステの要素が色濃くなってきています。
この事は、すでにエステ鍼灸を取り入れ成果を出している鍼灸院の多くの先生方は気付かれていると思います。
是非とも、「クレーム対応」の意識を高めてほしいと思います。
多岐にわたる様々なクレームを想定していれば、多くのクレームは未然に防ぐ事が出来ます。
起こさない対策が、一番ですが、万が一起こしてしまった場合の「クレーム対応」は、サービスを提供し料金を頂く側が、きっちりと誠心誠意に応じれば大丈夫なことが多いです。
新しい分野である「エステ鍼灸」を将来的にも美容術として確立し根付かせる為に、「クレーム対応」について先生方と院の皆さんと話し合って頂きたいと思います。
同意書を交わしているので、当院は大丈夫と思っていては、大間違いです。
何も苦情を話されずに離れてしまうお客様ほど怖いものはありません。
おおむね1人のお客様の苦情は10人に広がり そこからまた10人へと、1人の苦情の後ろには100人のお客様が隠れていることを、決して忘れないでください。
今月は特にシビアな内容になりましたが、美容におけるサービスの提供で最も大事な事はクレームを起こさないことですね。
ちょっとした気のゆるんだ時期に、何故かしら引き起こすことが多いように感じますね。
そして、重なることも多いように思います。
- 島田 ゆかり先生
- YSI株式会社 代表取締役
NPO法人全国鍼灸マッサージ協会会員
一般社団法人日本エステティック協会認定
永久認定トータルエステティックアドバイザー
CODES-JAPANソシオエステティシャン
CIDESCO認定インターナショナルエステティシャン
日本エステティック業協会認定講師インターナショナルエステティシャン
CPE認定電気脱毛士
元池坊短期大学非常勤講師
YSI株式会社 代表取締役
トータルエステ鍼灸院 4店舗経営