vol.090新たな疼痛治療薬 part.2
トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合製剤(商品名トラムセット配合)という新しい疼痛治療薬が外来で使用出来るようになりました。
この薬も前回お話ししたノルスパンテープと同じで、その成分にオピオイド鎮痛薬が含まれています。
トラマドールというオピオイド鎮痛薬と、古くからある鎮痛薬のアセトアミノフェンが配合された薬です。
オピオイドが含まれいるのでその鎮痛効果は強く、組織損傷による侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛の患者に効果が期待されています。
また、アセトアミノフェンはロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:エヌセイズなんて読みます)に比べて、胃潰瘍などの消化器合併症がありません。
NSAIDsに比べて長期投与がしやすく、鎮痛効果も期待出来ます。
実際、外来で数名の患者さんに使用し始めていますが、かなり良好な鎮痛効果が得られる印象です。
またオピオイドの合併症である嘔心、嘔吐などは1,2週で改善しますし、制吐剤を併用すれば症状も軽く押さえることが可能です。
自分の周囲の整形外科医もかなり使用しており、臨床的には有用な薬であるかと思われます。
痛みは非常に不快なものです。
治療に当たって少しでも手段が増えるのはうれしいことだと思います。
これからも新しい治療法などには常にアンテナを張り巡らせていたいものですね。
- 北村 大也先生
- 整形外科医