vol.095素早い決断力から教わる
今回は日本を代表する実業家の先見性の高さ、ずば抜けた判断力と行動力から学びたい、と思います。
2000年にある投資ファンドが「あおぞら銀行」を買収し、株主になった時、誰もが「あおぞら銀行」はこれから金融事業に力を入れていくものだと思いました。
しかし、この実業家は3年後にまた別の投資ファンドに売却し、あっさりと撤退してしまう。
組織というのは決断が遅いものです。
慎重に皆で議論しているうちに他の優秀な実業家にあっという間に出し抜かれてしまう。
ただ、この実業家の本当のすごさは前進する時のスピードもさる事ながら、むしろ後退する際の機敏さにある、と思います。
変わり身の早さこそ、この実業家の最大の特徴なのです。
こうした転換の素早さ、柔軟性、そして、素早い行動力は日本人が苦手としています。
サイクルの早いハンドトリートメント業界。
新規出店が増加する一方で、業界から撤退していく治療院、施術所が多いのも現実です。
5年、10年先の将来を思い描き行動し、そして、思い描いていた状況と違う、となればそれまでの技術、スタイルに縛られず機敏、かつ柔軟に対応する。
「君子は豹変す」という故事成語があります。
「君子は悪いことは豹の身体の模様が変わるように一変できる」という意味です。
つまり、優秀な人ほど朝令暮改や変節ができるのだ、と私は思っています。
この実業家と同じようにいかなくとも、これからの私たちの治療院、店舗運営についての一つのヒントになることでしょう。
- 安村 遠先生
- NPO全国鍼灸マッサージ協会 東京支部支部長