特徴的な形状に思わず目を奪われました
セラミック電気温灸器を使い始めて2年になりますが、きっかけはご高齢の患者様の往診でした。ご自宅のベッドでお灸をすえる行為にリスクを感じてしまう部分があり、火を使わずに温熱効果を与えられるアイテムを探していたのです。初めてセラミック電気温灸器を見たときは、特徴的な形状に目を奪われましたね。実際に使用してみると、先端部分の点と面から一定の温度を持続的に送り込めるので、症状や部位に沿った使い分けができて、施術の幅が広がる予感がしました。
お灸には、もぐさを紙縒(こより)状にしたものを適度な長さに切って直接肌にすえていく、〝糸状灸〟という手技があるんです。関節痛やむくみに効果を発揮する施術法ですが、症状によっては200~500壮の糸状灸をすえていくので、結構な手間が掛かります。セラミック電気温灸器の先端部分を点として使うと、糸状灸のような施術を再現できます。
一方で、火を使用するお灸にしか生み出せない気持ち良さは確実に存在します。じわじわと温かくなって最高温度に到達後はなだらかに落ち着いていく。お灸の「温度曲線」と呼ばれる効果です。セラミック電気温灸器は一定温度にキープできる点が強みですので、上手に使い分けることで、お互いの良さを補完し合えるのではないでしょうか。私は往診の際はセラミック電気温灸器をメインに、店舗ではお灸と電気温灸器を併用した施術を行っています。
〝腕を切り落としたい〟ほどの激痛が2週間でピタリと……
以前、私は建築関係の仕事に長く携わっていて、そこで頚椎椎間板ヘルニアを発症させてしまいました。図面を描き続ける日々は、今振り返ると多忙を極めていましたが、当時は充実感に満ちていて、仕事に没頭していたんですね。ある日、手首の上げ下げに和感を覚えるようになり、私生活にも影響をきたすほどの激痛へと変わっていきました。お医者さんから処方された薬を服用するも効果は得られず、最終的に提案されたのが首の手術——。正直に言いますと、神経が集中する頚部にメスを入れることに恐怖を感じてしまい、それだけは避けたいと思いました。
治療法を探し回り、最終的に辿り着いたのが鍼灸院、整体院。一縷の望みを託して毎日、治療に通いました。すると2週間後には〝腕を切り落としたい!〟ほどの衝動に駆られていた激痛が止んだのです。痛みから解放されるのは、これほど素晴らしいことなのかと、目の覚めるような思いがしました。働く女性が抱えがちな症状の改善に役立つ仕事がしたいと考えるようになり、鍼灸業界のキャリアチェンジへと繋がっていったわけです。鍼灸師は定年がなく長く続けられるので、私の仕事観にもぴったりと当てはまりました。
テレワークの影響から若い女性の肩こり痛が増えています
最近では肩こり、頭痛を訴える20~30代の若い女性のお客様が目立ちます。テレワーク中心の職務形態に変わり、1日10時間以上もパソコン、スマホと向かい合う日々。共通して見られる身体的な特徴は猫背、まき肩です。昨年から今年にかけて外出したり、体を動かしたりする機会がめっきり減っているのも原因の一つだと思います。肩こり痛の方にセラミック電気温灸器で施術すると大変喜ばれますよ。先端の面を寝かせて、首筋から背中まで経絡に沿って流すように施術していくのですが、精神面にも作用してリラックスされるようです。これから、多くの先生がセラミック電気温灸器の実践方法を試されるのではないでしょうか。施術バリエーションも増えると思いますので、私も是非お聞きしたいですね。