「セラミック」、「電気温灸器」——名前の響きと性能に興味はあるけど、果たしてコストに見合った成果を出せるのだろうか?導入にあたって悩まれている治療家の方々は意外と多いのではないでしょうか。リノア鍼灸院・西村茂樹先生もメーカーから商品を紹介された際は、慎重に感じる部分があったといいます。「デモ機を試用させてもらって、これは必需品になると直感的に感じました」。西村先生の不安を払拭させ、〝マストアイテム〟のひとつに仲間入りしたセラミック電気温灸器の魅力について、お話を伺いました。


重要なのは鍼灸師のツールがひとつ増えたということ

私が治療院を開いている門前仲町はオフィスビルも立ち並ぶ下町の住宅街になりますので、肩こり、腰痛持ちの30~40代の男性会社員や美容鍼灸に関心をお持ちの女性のお客様が特に多いのですが、一方で出張鍼灸も行っています。そこで、なるべく煙を立たせずにお灸同様の効果を期待できるアイテムはないかと、ずっと探していました。

個人宅やレンタルルームのように使用自体を躊躇させるケースもあれば、お灸の煙を好まないお客様もいます。スモークレスタイプを試してみましたが、煙が出ない代わりに最高温度が高いので、〝お灸初心者〟の施術には厳しい印象を受けました。そんな時にセイリンさんからセラミック電気温灸器を紹介してもらったのです。

性能は素晴らしいの一言です。煙が発生しないのはもちろんのこと、洗練されたシャープな形状、グリップのフィット感、持ち運びの便利さ、高級感溢れるカラーリング等、特筆箇所を挙げればキリがないですが、最大の魅力は設定温度を一定にキープできる点ではないでしょうか。設定温度の幅、温度上昇の速さ等、機能としては基本的な部分かもしれませんが、非常に精密に作られています。

他社製品とも比較してみましたが、温度調整の幅が狭かったり、接触部が温まるまで時間を要したりと、スペック的にもセラミック電気温灸器が一番です。紹介をされた当初はコスト面から正直、慎重にならざるを得ない部分もありました。でも、セイリンさんからデモ機を1ヶ月近く使わせてもらって、使いやすさと、施術で使用したお客様の反応の良さに「これしかない!」と思ったんです。

末端冷え性の治療では、初めに足をお灸で温めて血流を良くしてから全身の施術に移っていきますが、台座灸を足裏にポンと据えるのと、セラミック電気温灸器の面で撫でるように足の表面から指先まで熱を送り込むのとでは、受け手の満足度が大きく変わってきます。「電気温灸器って、こんなに気持ちがいいものなのか!」と、皆さん感動されるんですよね。同時に複数人を施術する場合、私は少し大変ですが(笑)、お客様に喜んでいただけるなら越したことはありません。

当然、お灸にはお灸の良さがあります。広い範囲を同時に温めることができるのは大きなメリットです。ただ、細かい部位の施術が難しかったり、先ほど触れた通り、お灸の香りを敬遠される方もいます。仕事の合間に施術を受けた場合は、会社に戻ってから会議の予定があるとスーツに匂いが付着していないか気にされるようです。

重要なのはどちらが優れているかではなく、私たち鍼灸師の画期的なツールが一つ増えたということではないでしょうか。お灸とセラミック電気温灸器を併用することで、施術の幅がグンと広がります。SNSを通じて、知人の鍼灸師にアイテムの素晴らしさを伝えていますが、まだ迷っている段階の人間も多い印象です。私は使用して1年程ですが、院内、出張問わず、治療には手放せない存在になっています。導入を検討されている方は、まずは一度手に取って試していただくことを強く勧めたいですね。